Stream of Consciousness
Wiliam Jamesが1890年に提案した意識のモデル。「人間は一度に一つの精神的出来事しか経験できず、高速で流れる心の流れとして存在する」という説。 ────── Claude
「一度に一つのことしか経験できない」という直感的な理解が、実際にどのような実験や議論を経て科学的な概念として確立されたのか、詳しく説明します。
1. 心理的不応期(Psychological Refractory Period: PRP)実験
最も直接的な証拠の一つです。
実験の仕組み
心理的不応期とは、2つの刺激が短い間隔で提示されたときに、第2の刺激への反応が著しく遅れる現象を指します。このPRPパラダイムでは、2つの異なる刺激が素早く連続して提示され、それぞれが異なる反応を必要とします。
2つのタスクを短い間隔で実行すると、刺激1と刺激2の間隔(SOA)が短いほど、タスク2の反応時間が長くなることが判明しました。これは、刺激2の中央処理が刺激1の処理が完了するまで待たなければならないためで、人間は一度に一つのタスクの中央処理しか扱えないという「中央ボトルネック」の考え方につながります。
重要な発見
6人の参加者に36セッションのPRP実験を行った研究では、当初353msあった大きなPRP効果が、訓練を経て約40msにまで縮小し、1人の参加者では完全に消失しました。これは、完全な並列処理は極めて困難であることを示しています。
2. 注意の瞬き(Attentional Blink)実験
もう一つの決定的な実験です。
実験の発見
注意の瞬きは、1992年にレイモンドらによって初めて用いられた用語です。人々は、高速で連続表示される視覚刺激の中で、第1の目標の200〜500ミリ秒後に第2の目標が現れると、それを見逃しやすいという心理的効果です。
基本的なABパラダイムは、高速連続視覚提示(RSVP)という方法を用います。文字、数字、画像などの刺激が、単一の場所で毎秒6〜20個の速度で連続的に提示されます。
意義
注意の瞬きは、特定のラグ位置で第2の目標を正しく識別する可能性が低下することと定義されます。第1の目標の後、180〜270ミリ秒の範囲で認識精度が特異的に低下するのは、一時的な注意の利用不可能性の指標です。脳が刺激をワーキングメモリに完全に処理して識別・記憶するには少し時間が必要で、その結果、この間に脳はさらなる刺激を処理できません。
3. William Jamesの内観法とStream of Consciousness
方法論の特徴
ジェームズは『心理学原理』で内観法を採用すると述べており、それを「自分自身の心の中を見て、そこで発見したものを報告すること」と定義しています。
しかし興味深いことに、ジェームズ自身は内観を意識の流れを理解する技術として使用することに極めて懐疑的でした。「これらの場合の内観的分析の試みは、実際には回転するコマの動きを捉えようとすること、あるいは暗闇がどのように見えるかを確認するためにガス灯を素早くつけようとすることのようなものである」と述べています。
概念の確立
ジェームズは分析的方法を提唱し、仮定された「単純な観念」ではなく、読者が直接知っている具体的な心の状態から始めるべきだと主張しました。伝統的な心理学が「川はバケツ、スプーン一杯、クォート、樽一杯といった型にはまった水の形だけからなる」と言うようなものだと批判し、「バケツや壺が実際に流れの中に立っていたとしても、それらの間を自由な水が流れ続けるだろう」と述べました。